Categories: 地域医療特集

移譲後10年 岐路に立つ兵庫医大篠山病院

小児、産科が医師不足
局面迎えた市の判断

 篠山市の小児救急医療を担う兵庫医科大学篠山病院 (篠山市山内町) の小児科医が今月、 2人から1人に減った。 全国的な小児科医、 産科医のなり手不足のあおりをうけ、 同医大本院 (西宮市) が小児科医を引き揚げたことによるもの。 8月からは2人体制に戻るが、 長期的な見とおしは立っていない。 産婦人科医はすでに昨年6月に2人から1人に減っている。 また、 一昨年度に始まった新臨床研修医制度の影響で、 同病院に来ていた研修医も8人減っている。 同病院を取り巻く状況をまとめた。

 小児科医減で宅直制廃止

 小児科医が一人になったことで、 これまで行っていた夜間の 「宅直制」 が機能停止に。 当直医が診療したあと、 必要があれば小児科医に連絡が取れる体制ではなくなった。 医師の休日は本院からの派遣で対応。 土、 日曜日については、 丹波地域の五病院で実施している救急輪番体制の当番日以外には小児科医がいない。
 また、 昨年六月から医師が一人になった産婦人科は、 医師の努力でほぼこれまでどおりの体制を維持できているという。

 研修医制度の変更が影響

 本院自体の医師不足が医師引き揚げの背景にある。 少子化で将来的に見通しが立ちにくいことから、 全国的に小児科、 産科医のなり手が減っている。 また、 研修医制度改正の影響で、 同大医局に若手の医師が減ったことも要因のようだ。 以前は、 卒業した大学の医局や系列の病院で研修を積むケースが多かったが、 二年間の研修先の病院を自由に選べるようになったことで状況が変わった。 篠山病院でも、 十人程度いた研修医が二人に減った。 研修医は診療にもあたっていたので、 同病院は全体的にも 「人手不足」 になっている。 さらに、 医師が田舎への勤務を敬遠する傾向もある。

 累積赤字10億難しい市判断

 同病院は、 一九九七年に国から兵庫医大に移譲された。 地域の中核的医療機関として充実をはかってきたが、 病棟の老朽化や市人口の伸び悩みなどにより、 運営赤字が累積。 累積赤字は九年間で十億円弱に上っている。 来年九月、 「国から移譲後十年間は篠山での医療活動を行う」 という法的拘束期間が切れることから、 赤字経営が続く病院運営をどうするかという岐路に立っている。
 同病院は、 地域医療を担う立場から、 「応分の負担」 を市に要望しているが、 市は特定の病院に支援することについての法律上の問題や、 財政上の問題から結論が出せないでいる。 同病院について瀬戸亀男篠山市長は 「欠くことができない重要な存在」 と認識しているが、 「私立病院に公費を使うことや、 地方における病院を取り巻く状況が難しくなっている今、 支援策の判断を下すのは非常に難しい」 と話す。

 支援なければ抜本合理化も

 市の諮問を受けて二年間地域医療のあり方を議論してきた 「篠山市地域医療検討委員会」 (新家龍委員長、 十五人) は、 三月に出した答申書で、 必要だが採算性の悪い救急医療、 小児科、 産科の三つを 「政策医療」 と位置付け、 補助金制度をつくることを提言した。 また、 老朽化が問題となっている病院施設については、 市が全部または一部を買収するか賃借し、 「公設民営化」 するのが望ましいとしている。
 同委員会は答申書で、 「抜本的な合理化による特化型病院への転換や撤退の選択肢もあり得るという非常に緊迫した局面」 と指摘した。 市は答申への見解をまとめて六月に同医大に伝える方針で、 現在、 市内部で話し合いを進めている。 市が 「今後の地域医療を誰が担うのか」 という重要課題の方針を示す、 ”待った無し”の時期に来ている。 (徳舛 純)

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