「雨がピリピリ降る」。


「雨がピリピリ降る」。丹波人には聞き慣れた言葉だが、神戸方面では使わないことを最近になって知った。方言を研究している甲南大学の都染(つぞめ)直也教授の調査によると、「雨がピリピリ」は丹波方言の特徴の一つらしい。▼ピリピリは、物の状態や様子を日本語の発音でいかにもそれらしく写しとった擬態語だが、日本語には擬態語や擬音語が異様に多い。英語には350種しかないが、日本語では1200種に及ぶという調査報告もある。擬態語・擬音語は日本語の大きな特色だ。▼しかも、地方に特有の擬態語・擬音語がある。たとえば、水の中で溺れそうな様子などをあらわす「あっぷあっぷ」。これを新潟では「あばあば」と言い、山形では「あっぱかっぱ」と言うと、山口仲美教授が紹介している。ピリピリも地方色が表れた言葉だ。▼さらにピリピリは、水に関連する言葉だが、国語学者の金田一春彦氏によると日本語には水にまつわる擬態語が多い。それは雨の多い気候風土の表れであり、日本人が「触覚文化の民族」だからだという。▼「雨がピリピリ」はおそらく、皮膚が刺されるような感じをあらわすピリピリを、肌を打つ雨になぞらえたのだろう。それはまさしく触覚の表現である。「雨がピリピリ」に、丹波地方の風土と文化、先人たちの感性を見る。(Y)