カレンダーも残り1枚になり、忘年会の季節になったが、忘年会を「年忘れ」と呼んでいた昔は、家庭の行事だったそうだ。

2006.12.19
丹波春秋

カレンダーも残り1枚になり、忘年会の季節になったが、忘年会を「年忘れ」と呼んでいた昔は、家庭の行事だったそうだ。金田一春彦氏によると「家族・奉公人が集まり、ときには親戚や知人を招待して酒宴を催した」という。▼その後、忘年会は家庭から会社へ移り、会社の仲間とドンチャン騒ぎをするのが忘年会の当たり前の光景になった。しかし昨今は、昔と比べてあまり羽目をはずさなくなったように思う。▼従業員を多く抱える会社の部長が「今の飲み会はずいぶんおとなしくなった。何より飲み会に参加することを好まない若手社員が増えてきた」と話していた。忘年会にも時代の移り変わりが透けて見える。▼かつての『会社人間』にとって、会社の仲間は一種の家族だった。しかし、終身雇用制度が崩れ、会社はもはや安住の地でなくなった。高齢化で定年になっても長い歩みが続く今は、会社員時代は人生のひとつの段階でしか過ぎなくなった。▼都会の職場を早期退職し、丹波地方でサービス業を始めた男性が「辞めるとき、『また遊びに行くよ』と同僚たちから言われたが、来ませんね。そんなものでしょう」と達観したように話していた。若手社員が会社の飲み会を好まないのは、「会社の仲間はひとつの家族」というのが幻に過ぎないと悟っているからだろうか。(Y)

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