本社企画のグリーン・ツアーで大分県・安心院(あじむ)の農家に泊めてもらい、素朴なもてなしを受けた。

2006.12.27
丹波春秋

本社企画のグリーン・ツアーで大分県・安心院(あじむ)の農家に泊めてもらい、素朴なもてなしを受けた。筆者が泊まったのは遠くに由布岳を仰ぐ「星降る高台の家」。ペンション風の名前ながらごく普通の農家で、70歳ほどの夫婦と息子さんのうち、息子さんは出張で留守だった。▼食事をしながらの奥さんの話によると、以前修学旅行の中学生が来て、先生から折り紙付きの番長グループの女生徒を預かった。「てめえ」を連発し、芋掘りも滅茶苦茶だったその子らに、「ご飯食べさせないよ」とたしなめて指南するうち、結構作業が面白くなった様子。▼身のうち話まで始め、一緒に朝食を取ったことのない実母を「あいつ」と呼ぶのを、「夜が遅くて疲れていても、あんたのことをいつも思ってくれてるんだよ」と諭す奥さんに別れの朝、泣きながら抱きついてきた。後日、母と再訪してくれ、「お母さん」と呼べるようになった。▼「星降る家」の40歳過ぎの息子さんは、四国からの男の客と酒を酌み交わすうち意気投合。間もなくその客の東京勤めの娘さんも母と来訪し、縁談がとんとんと進み、この夏挙式の運びという。▼こんな話に夜更けまで耳を傾けるうち、折角の星空のことをついつい忘れてしまった。この家が新しい家族で華やぐ頃、是非また訪れ、降る星空を心ゆくまで見上げたい。(E)

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