柏原大ホールと言っても、ぴんとこない。

2006.12.27
丹波春秋

柏原大ホールと言っても、ぴんとこない。氷上郡民会館ホールの方がやはりしっくりする。氷上郡から丹波市になり、名前を変えたこのホールが解体されるようだ。跡地は駐車場になるらしい。これも時代の流れと思うが、一抹の寂しさを覚える。▼今のように、市内のあちらこちらにホールがなかった時代、氷上郡民会館ではたびたび催しが開かれた。音楽、踊り、ダンス、演劇などの舞台発表のほか、政治関連の大会に使われることもあり、取材でよく足を運んだものだ。郡民を多く集める催しの会場として貴重なホールだった。▼個人的にもこのホールには思い出が詰まっている。20年以上、趣味の舞台発表の場として使わせてもらい、ステージに立ってきた。この間、市内のほかのホールのステージに立つこともあったが、郡民会館には特有の味わいがあった。▼ステージが狭い。音響効果が悪い。照明設備が不十分。その上、座席はパイプ椅子。いまどき、時代遅れのホールではあるが、開演準備でホール内に一つひとつパイプ椅子を並べながら、自分たちの手で舞台をつくるという感覚にひたれた。▼ホールにとどまらず何事につけても、時の流れとともに改良が進み、欠点がなくなっていく。しかし、欠点があるからこそ、いとおしいものがある。それが時代遅れの良さだろう。(Y)

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