NHKから2回シリーズで放送された「恐竜対哺乳類 一億五千万年の戦い」は

2006.12.27
丹波春秋

NHKから2回シリーズで放送された「恐竜対哺乳類 一億五千万年の戦い」は、中国やカナダで続々と発掘された化石の最新の研究成果をまとめたもので、興味深かった。「戦い」と言うより、「恐竜のお陰で哺乳類が生延びることができた」という視点が新鮮だ。▼哺乳類は古さでは恐竜にさほど劣らないが、進化と共にどんどん強大化した恐竜に対し、ネズミ以上の大きさにはなれなかった。その代わり、恐竜の寝静まる夜に活動したので耳が進化し、脳の発達を促した。また「胎盤」という画期的なものを身につけた。▼そして6500万年前、突然大隕石が地球に激突し、急速な気候変動をもたらす。図体の大きい恐竜が絶滅への道をたどった一方、身体が小さく、被子植物の果実や昆虫などを食べていた哺乳類はしぶとく生き残った。▼「もし隕石のコースが地球からはずれていたら、今頃地球の様相は?」という語りに一瞬考えたが、やはり脳を鍛え、胎盤で子供を守った哺乳類が勝者になるという結果は違わなかっただろう。▼哺乳類が懸命に生命をつないだ延長上に、我々人類の繁栄がある。とは言え、恐竜は1億6500万年もの間、地球を闊歩していた。人類が王座についてからの期間は、その爪先にも及ばない。一体『誰』が最終勝者になるのか、決して予断は許されない。(E)

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