JR社員の思い

2007.01.29
未―コラム記者ノート

 尼崎でのJR脱線事故から25日で丸一年が経った。お亡くなりになった方々にご冥福をお祈り申し上げたい。 事故後、JR西日本は、「安全性向上計画」を策定し、安全を最優先する企業理念を掲げた。 地元鉄道部の幹部に、事故を教訓にした取り組みについて取材していると、後半、幹部の口が重くなり始め、「本当なら何も記事にしてもらいたくない」と漏らされた。「100人を超える人の命を奪ったことは、本当に重い。あれをした、これをしたと言ったところで、受け入れられるものではない」というのが理由だった。改善点を知らせることは、努力を伝え、安心感につながると思っていたが、浅い考えだと分かった。 JR社員は毎朝、各駅での総点呼の際、事故現場の方向を向いて犠牲者に黙とうしているという。「黙とうも、生きているからできること」と義務感を持っておられたが、加害者として事故を毎日思い出すのも辛いだろう。 遺族や負傷者、友人らはもちろん、JR関係者も、誰もが辛い思いを抱えたままの一年。事故というものは、取り返しがつかないものなのだと改めて思った。(徳舛 純)

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