手話と故郷の絵本


 篠山を舞台にした絵本「河童とようすけくん」を仲間と自費出版した、同市魚屋町出身のグラフィックデザイナー、奥山洋介さん(67)を取材した。尼崎市在住の奥山さんは聴覚障害者。約一時間にわたり、ほほ笑みを絶やさず丁寧な手話で思いを説明してくれた。 奥山さんは、「ろうあ者はバイリンガル」という持論を持っている。「身振り手振りを用いる手話は、互いの言語が分からなくても通じ合える」からだ。「河童と―」は、耳の聞こえない少年が、河童と手話を通して仲良くなる物語。まさにこのモチーフで描かれている。巻末では基本的な手話や指文字を紹介した。「手話をコミュニケーションの手段として広めたい」という。 聾学校に通うため、八歳から神戸市の親類宅に下宿したが、長期休みのたびに帰省して故郷の自然で遊んでいた。今回の出版も、篠山の思い出話を尼崎の手話サークルメンバーらに聞かせていたことがきっかけとなった。 手話と故郷への思いがつまった温かい絵本。興味のある人は読んでほしい。収益の一部は福祉施設に寄付される。千八百五十円。みーつけた(079・554・2600)。 (古西広祐)