篠山市宮田の篠山層群 国内初の角竜類化石


 県立人と自然の博物館は26日、 篠山市宮田の白亜紀前期 (約1億4500万年―9960万年前) の地層 「篠山層群下部層」 (約1億4000万年―1億2000万年前) から、 トリケラトプスに代表される角竜 (つのりゅう) 類の頭骨の一部が発見されたと発表した。 角竜類の化石は中国などでは見つかっているが、 国内での発見は初めて。 同博物館の三枝春生主任研究員は 「化石の表面には、 血管が通っていた跡がはっきりと分かるくらい保存状態は良好」 と言い、 「全身骨格の発掘を目指して調査を進めたい」 と意気込みを見せている。 化石は28日―12月27日まで、 同博物館で展示されている。
 見つかったのは、 ▽右側の前顎骨 (長さ29ミリ、高さ26ミリ、厚み8ミリ) ▽左側の上顎骨 (長さ42ミリ、高さ18ミリ、厚み13ミリ) ▽下あご左側の歯骨 (長さ14ミリ、高さ15・5ミリ、厚み12ミリ) ―の一部。 あごの化石の大きさから推定して、 全長50―60センチの若い個体であったとみられている。
 上顎骨と歯骨の化石は、 丹波竜やほ乳類化石の発見者の足立洌さん (65) =丹波市柏原町南多田=が発見。 前顎骨は同博物館の研究員らが見つけた。
 三枝主任研究員によると、 ▽歯のかみ合わせ部分の形状▽歯の表面のでこぼことした縦筋▽歯の外側にしかエナメル質が形成されていない▽前顎骨の長さの比率や厚み―などが、 角竜類のなかでも進化したネオケラトプス類の祖先種 「アーケオケラトプス」 の特徴と一致。 角竜類の化石が多く出ている中国に出向き、 複数の化石標本と比較するなどして、 同種に類似することを確認した。
 アーケオケラトプスを含むネオケラトプス類の祖先種は、 これまでにモンゴルで1種、 中国で4種の計5種類が発見されている。
 2007年10月に足立さんが、 歯の部分がわずかに露出した直径数センチの岩塊を拾い、 同博物館に持ち込んだところ、 恐竜の化石と判明。 同博物館の研究員も現場に出向き、 さらに同じ恐竜と見られる化石を発見した。
 発見者の足立洌さんの話  「見つけたときは、 私が20数年間探し求めていたサンドパイプ (小動物の住み穴) の化石では、 と思った。 そうでなかったのは少し残念だが、 国内初の角竜類の化石ということで、 その点は良かった」


(写真)左下から時計回りに上顎骨、歯骨、前顎骨

【宝箱の解明これから】
 今回新たに角竜類化石が発見された篠山市宮田の篠山層群下部層。 一昨年には国内最古級のほ乳類化石が見つかるなど大発見が続いているが、 すべて手作業や発掘の際に出た余り石からだった。 プラスタージャケット (石こう布) で包んで切り出し、 人と自然の博物館に保管されている地層の 「本体」 (縦3メートル、 横4メートル、 厚さ50センチ) の解明は未着手で、 多くの化石が眠る可能性が非常に高い宝箱は今後、 少しずつ開けられていくことになる。
 同現場ではこれまでに、 ほ乳類のほか、 トカゲ類、 恐竜の獣脚類の一部が発見されており、 今回の角竜類で、 実に4種もの動物化石が見つかっている。
 現場の地層は地表に顔を出している部分全体でも2、 3畳ほどの狭い範囲。 そこから多様な化石が発見されていることについて、 同博物館の三枝春生主任研究員は、 「この狭いエリアの中で、 さまざまな種類が発見されることは、 国内では例がなく、 世界的に見ても非常にまれ。 恐竜ファンや研究者には垂涎 (すいぜん) ものの現場」 と言い、 「なぜこんなにも密集しているのかも研究課題となる」 と興奮気味に話す。
 アマチュア愛好家の足立洌さんは、 現場に落ちていた岩などからほ乳類や角竜類などの化石を発見。 ほかの化石も研究員らが作業を行った際に出た余り石から見つかった。
 プラスタージャケットで包んだ地層の断面にはすでに数点の化石が見えている状態で、 三枝研究員は、 「東アジアの進化史を解くカギになる可能性が高い」 と期待している。

【アーケオケラトプス】
  「アーケオケラトプス」 は、 白亜紀前期にアジアで繁栄した草食恐竜で、 全長は約90センチ。 上あごの歯と下あごの歯の形が違い、 ハサミのように垂直にかみ合わせて、 植物を切り刻むように食べていたと推測されている。 二足歩行で歩いていた。
 アーケオケラトプスは、 約1億1200万年前に北アメリカに移住して、 3本の大きな角を獲得し、 全長7―9メートルまでに大型化するなどの進化を遂げたトリケラトプスなどの祖先にあたると推測されている。

【化石発見現場を重点保護区域に 篠山市】
 篠山市は26日、 今回国内初となる角竜類の化石が発見された同市宮田の民有地を、 市脊椎動物化石保護条例に基づく 「重点保護区域」 に指定した。 同区域の指定は、 昨年、 獣脚類の化石が見つかった大山地区に次いで2カ所目。
 保護区域では▽化石または土石の採取▽建築物や工作物の新改築、 増築▽宅地の造成、 土地の開墾、 土地の地質変更―が禁止されている。
 県道長安寺・西岡屋線沿いの山林地で、 面積は約1万1300平方メートル。 現在、 用地買収を前提に地権者と話し合いをしているという。
 市は盗掘などを防ぐため、 県道沿いに防護フェンスを設置した。

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