虫の目レンズ

2013.03.21
未―コラム記者ノート

 最近、「虫の目レンズ」での写真撮影にハマっている。直径約1・5センチ、長さ約4センチの筒状で、小さな物体を大きく写せ、しかも、その背景をも鮮明に写し出すという、おもしろレンズ。10年近く前から商品化されていて、昆虫写真愛好家から重宝がられている隠れた逸品だ。
 普通、小さな虫を大きく写そうとするとき、マクロレンズを使うが、このレンズだとピントが合って見える範囲「被写界深度」が非常に浅いため、背景どころか、虫の体全体にピントをこさせること自体、不可能。被写界深度が深い広角レンズだと、虫は大きく写せない。「小さな昆虫を大きく写せ、その昆虫がくらす環境までを一緒に写し込みたい」―。昆虫写真愛好家なら誰もが思い願っていることが、このレンズで実現する。しかし、光学設計上、かなり無理をしているので、画質が一般レンズと比べて悪いことや、その他、諸々の制約はあるが、ファインダー越しに見えるアリ目線の世界はしばらく眺めていても飽きない。
 間もなく迎える春本番。花や虫など、このレンズで覗いた世界の感動を紙面でお届けできたら。(太治庄三)
 

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