今春卒業生の半数が県立病院へ 県立柏原看護専門学校

2013.04.11
丹波の地域医療特集

 県立柏原看護専門学校の今春卒業生33人のうち、 半数の16人が県立病院に就職した。 5人は県立柏原病院に就職、 直近の10年で最も多くなっている。 同病院には、 同校卒業生と合わせ計8人の新卒看護師が配置された。 いずれも直近10年で最多となっている。

 同校からの県立病院への就職者は、 直近の10年間で85人。 うち県立柏原への就職は12人。

 同校に隣接する同病院は、 2004年から始まった新医師臨床研修医制度の影響で急激な医師減少に見舞われ、 稼働ベッド数も353床 (うち50床は結核、 現在は廃止) から116床まで減少。 ベッド減に合わせて看護師も削減する一方で、 ここ10年間で採用がなかった年が、 3年もあった。

 医師数の回復傾向が出てきた2010年に3年ぶりに新人2人を採用、 うち1人が同校からだった。 以降も、 より多く新人看護師を採用したかったが、 同病院の勤務希望者が少なく、 4月にようやく8人を迎えた。

 県病院局は、 昨年、 今年と同校から県立病院への就職者が増えた要因について、 同病院看護部長や病院局職員が学校訪問し、 県立病院事業について説明するなどPRにつとめたことが奏功したとみている。

 このほか、 県の奨学金制度創設や第一希望の県立病院に配属するとして募集をかけたことも一因と見られる。

 同校から県立病院への就職者が少ないことなどを理由に、 県は11年10月、 行政改革の1つとして、 同校を15年3月末で廃校にすると決定、 12年度以降の学生募集を停止すると広報した。 看護師不足に危機感を募らせた市民が井戸敏三県知事に働きかけるなどし、 15年4月に丹波市に経営を移管し、 市立看護学校として存続する道が開けた。

 中川裕美子県立柏原病院看護部長は、 「若い人が来てくれると病院に活気で出て明るくなる。 1年かけ教育する。 根付いていただくことが大事」 と歓迎している。

 県病院局によると、 今年4月1日付で約420人の看護師を新規に採用。 県立光風病院の思春期病棟の開設、 県立淡路病院の移転新築、 慢性的な看護師不足の改善のため、 例年より100人近く採用を増やした。 うち約250人ほどが大学、 専門学校の新卒者。 県の奨学金受給者26人は全員が県立病院に就職した。

 県立柏原病院は、 新卒、 転職、 既卒も含め4月1日に新たに18人の看護師を採用した。 同病院の稼働病床数は、 146床から164床に増えた。

37人看護師の道へ 県立柏原看護専門学校入学式

 県立柏原看護専門学校 (秋田穂束校長) の入学式が4月9日、 同校であり、 丹波市在住者8人を含む37人が、 看護師資格取得への一歩を踏み出した。 県の行革でいったん廃校が決定、 2年後に丹波市に移管し存続するという曲折をたどり、 新入生が市に移管後、 最初の卒業生になる。

 新入生は、 女性30人、 男性7人。 高校新卒が20人、 既卒が17人。

 丹波市以外では、 三田市が4人、 次いで、 姫路市、 三木市、 神戸市が各3人などとなっている。 県外は2人と例年より少なくなっている。

 入学式では、 秋田校長が、 「専門職の誇りと自覚を持ち取り組んで」 と式辞。 新入生代表の阿江栞奈さんが、 「諸規定を守り勉学に励む」 と誓いの言葉を述べた。

 定員40人に対し、 165人 (丹波市23人、 篠山市6人、 三田市13人など) が受験。 倍率3・87倍だった。 入学辞退があり、 3人の欠員が生じた。

 

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