成形→窯入れまで 合間にピザ作り 丹波市山南町・坂野さん夫妻

2013.06.13
ニュース丹波市

写真・自宅で窯を開く坂野さん夫婦。 右手に見えるのがピザ窯と陶芸用の灯油窯

 大阪からIターンした坂野 (ばんの) 正幸さん (62)、 公子さん (61) 夫婦=丹波市山南町篠場=が、 自宅で陶芸と手作りピザが堪能できる窯「遊2庵(ゆうゆうあん)」を開き、 地元住民や都市部の人たちとの交流を楽しんでいる。 陶芸教室は、 成形だけを体験し、 あとの工程は“窯元任せ”なのが一般的だが、 ここでは希望すれば、 成形の仕上げや釉薬付け、 窯入れまでの作業も体験できる。 成形後、 乾燥するまでの間に手作りピザを焼いたり、 近くを散策するなどして、 ゆったりとした1日を過ごしてもらう趣向だ。

 

 自宅庭には、 耐火レンガで手作りしたピザ窯、 陶芸用の灯油窯、 陶芸の成形作業ができるウッドデッキや簡易小部屋、 小さな芝生広場がある。

 粘土 (1キロ) で器やカップ、 置物などを自由に創作。 乾くまでの2―3時間を使って、 手作りピザを楽しんだり、 自然散策、 ガーデンゴルフなど、 好きなことをして過ごす。 作品が乾いたら、 「削り出し」 といった仕上げの作業をして帰る―という流れ。 さらに2週間―1カ月後に再訪し、 素焼きや釉薬かけ、 色づけなどの作業を体験することもできる。 成形だけの“お任せ”も可能で、 “全部自分でやりたい派”ともに2000円。

 坂野さんは、 日本六古窯の一つ、 常滑焼で有名な愛知県常滑市の出身。 窯業の学校を出た後、 建築資材会社に勤務し、 外壁などに使う特注タイルの営業を担当。 静岡、 名古屋、 高松など、 転勤した先々で窯元や陶芸教室があれば入門し、 腕を磨いた。

 薪をたいて焼き物を作る穴窯にあこがれ、 大阪から近い丹波で物件を探し、 5年前に現在の家を購入。 週末になると通い、 ウッドデッキやピザ窯などを手作り。 集落の人を対象に陶芸教室を開きながら地域に溶け込み、 2年前に移り住んだ。

 昼夜を問わず火を管理しなければならない穴窯は断念。 「体力がもたないと思って」 と苦笑い。 各地の陶芸教室を渡り歩く中で、 「一から十までやってこそ、 自分の作品」 との思いが募り、 ピザ窯をこしらえ、 今のスタイルに行き着いた。 「日々の忙しさを忘れて、 1日のんびりと遊んでほしい」 と話している。

 1日5―6人まで。 電話 (0795・78・0551) で予約を。

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