着手から6年、7月完了 高谷川の浸水対策 加古川広げ背割堤築く

2013.06.22
ニュース丹波市

写真・7月に完成する背割り堤の先端部。 背割堤の右側が柏原川、 左側が加古川=氷上町稲畑で

 背割堤を築き、 柏原川と加古川の合流地点を下流に移動させることで、 高谷川の水位を下げ、 床上浸水を防ぐ 「加古川水系高谷川床上浸水対策特別事業」 が、 来月完了する。 31億円を投じた巨大事業は、 事業着手から6年目で完了する。

 

  「コモーレ丹波の森」 (丹波市柏原町母坪) 裏手の五柿橋下流から、 「錦橋」 (同市氷上町稲畑) 上流までの2200メートルが事業区間。

 本州で一番低い中央分水嶺がある高谷川流域は、 高低差が低い地形で、 加古川と高谷川の流出量のピークが重なるような大きな洪水が起きると、 加古川の背水の影響で高谷川の水が下流に流れなくなり、 行き場をなくした水が川からあふれ、 浸水被害を出した。 このため、 加古川と柏原川の合流点を約1キロ下流に動かすことで、 加古川の背水の影響を小さくし、 柏原川と高谷川の水位を下げる工事を行った=図参照。

 右岸側 (同市氷上町谷村側) の田んぼだった所に堤防を築き、 加古川を最大で約60メートル拡幅。 工事前の加古川右岸堤防を加古川と柏原川を分ける 「背割堤」 とした。

 見田井堰 (同町稲畑) を改築してポンプ場を設置し、 背割堤築造後も取水できるようにしたほか、 谷村から加古川に注ぐ中河原川も合流部分を改築。 加古川の背水で中川原川の水があふれないよう 「バック堤」 と呼ばれる本流同等に頑丈な堤防を築いた。

 さらに下流の山南町井原近くの加古川と篠山川の合流点までの間で、 堤防を嵩上げしたり、 河道を掘削するなどし、 流下能力を確保。 氷上地域ではおおむね工事を終えた。

 2004年10月20日の台風23号に伴う豪雨 (柏原観測所で1時間雨量31ミリ、 24時間雨量208ミリ) で、 氷上町稲継、 本郷、 横田、 柏原町母坪など高谷川流域で450戸が床上浸水した。 工事完了後は、 同台風と同程度の増水があっても、 床上浸水戸数はゼロに、 144戸だった床下浸水が70戸まで減る想定。
 

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