66年ぶりに生育確認 シダ類のミズワラビ

2013.10.31
ニュース丹波市

66年前の標本を手に市内でミズワラビの生育を確認したと発表する松井施設長(左)ら=氷上住民センターで

 青垣いきものふれあいの里と県立人と自然の博物館が10月28日、 兵庫県版レッドデータブック2010で絶滅危惧種のCランクに指定されているシダ類の 「ミズワラビ」 を丹波市内の水田で確認したと発表した。 ミズワラビは、 植物研究家の細見末雄さん (丹波市氷上町横田) が同博物館に寄贈した標本に、 1947年に同町横田や柏原町母坪で採集したとあるが、 長い間生育が確認されず、 丹波地域では66年ぶりの確認。 青垣いきものふれあいの里の松井久信施設長は、 「除草剤や農薬の散布の影響で絶滅したと思われていたが、 使用量の減少などにより、 復活したのではないか。 環境のバロメーターにもなる」 と話している。

今月7日に松井施設長や人と自然の博物館の鈴木武研究員、 丹波自然友の会の長井克己代表らが、 細見さんが66年前に確認した地名を基に調査を行った結果、 生育を確認した。 ミズワラビは、 水田で9月上旬に生えるが、 稲を刈り取った後の田で見つけやすい。 最近は、 稲を刈り取ったあとすぐに、 田をトラクターなどで鋤(す)かないこともあるため、 生育しやすくなっているのではないかという。

県内では、 淡路地域を除く全地域で確認されている。 丹波市内では春日地域などでも確認されており、 市内にかなりの生育場所がある可能性が高い。 鈴木研究員は 「由良川下流の舞鶴、 加古川流域の西脇などでも見られるが、 丹波市内は、 由良川水系と加古川水系が交わり、 両水系にミズワラビが見られる珍しい地域」 と話している。

生き物ふれあいの里 (0795・88・0888) や丹波自然友の会 (長井代表、090・8651・7052)では、ミズワラビの情報提供を呼びかけている。

 

 ミズワラビ ホウライシダ科に属する一年生植物。 葉質はやわらかい。 葉の長さが時には、 30センチを超えることもある。 秋の刈り取りのあとは、 数センチ程度の小さな株が多い。 9月から11月の短期間に河川に近い水田に見つかる傾向がある。 胞子が土の中で10年以上生き残っているとされている。 シダ類は、 山すそや岩場などに多く見られるが、 ミズワラビは水田や沼地に見られる珍しい品種。

 

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