鳥獣防護柵維持の先進例 丹波市青垣町東芦田・篠山市小多田

2013.11.24
ニュース丹波市自然

写真・熊除けの鈴をつけた杖を手に柵を点検、 山中に置かれた当番表に印をつける=青垣町東芦田で

 丹波市内に425キロ、 篠山市内に337キロある有害鳥獣防護柵。 丹波市青垣町東芦田と篠山市小多田の同柵維持管理方法が優れているとして、 県森林動物研究センター (青垣町沢野)が、ウェブサイト(http://www.wmi-hyogo.jp/)で紹介を始めた。 東芦田は 「当番表」 をこしらえて柵の点検をしており、 小多田は、 柵の修繕・更新費の積み立てを行っている。 同センターは、 「柵を作ったものの管理が行き届かず、 効果を損なっているところがある。 参考にしてもらえれば」 と話している。

 

◎30年前から続く

 東芦田 (175戸、 農作業従事者戸数128戸、 農地面積約102ヘクタール) は、 集落の山際に約13キロの金網を設置しており、 4つある農会ごとに月2度の高頻度で自主点検をしている。

 当番は柵沿いを歩き、 破れや倒木の有無、 草が電気柵の邪魔をしていないかなどをチェック。 傷みが見つかった場合は、 4農会のとりまとめの東芦田生産組合が補修する。

 同集落では、 電気柵を導入した昭和50年台から当番を決めて柵の点検を毎週行う長年の蓄積があり、 10年ほど前に金網にした後も継続して点検を続けている。

 4農会は、 2人ずつの8班体制。 非耕作者でも会員であれば、 年に3度当番が回って来る。 何年か前にクマ騒動があり、 以来、 当番は鈴がついた杖を持って山に入る。 山の中腹に置いてある確認表に印をつけ、 当番の務めを果たしたことを証明する。

 4農会の会員で東芦田営農組合長の芦田浅己さんは 「河川や道路の開口部から侵入し、 これだけやっても、 小豆や黒豆を食べられる」 と悔やむ。 それでも、 「何もしなければ、 もっと被害が出るだろう」 と一定の効果を感じている。

◎各地から視察

 篠山市小多田集落 (115戸のうち、 農作業従事戸数67戸、 農地面積約44ヘクタール) は、 15年前の防護柵設置時に 「獣害防護柵設置管理協議会」 を設立し、 柵の修繕費や更新費を計画的に積み立てている。 全国的に見ても先進的な事例で、 他地域からの視察でも 「補助金頼みでなく、 自立的で将来を見越した活動」 と注目を集めている。

 1998年から山際約7・4キロに渡って金網柵を設置しているが、 修繕や更新を考え、 設置と同時に同協議会を設立した。

 協議会で1戸当たり年間1000円の賦課金と、 田1反当たり1000円、 畑1反当たり600円を徴収。変動はあるが、年間で約50万円が集まり、 うち約20万円を柵の修繕費に、 約30万円を更新などのために積み立てている。

 設置当初の防護柵は高さが約1・8メートルあったが、 年とともに低くなってきており、 支柱や網を継ぎ足すなどの修繕を行っている。 今年初めて防護柵を部分的に更新。 費用約150万円を積み立てた中からねん出した。

 堀井実会長は、 「柵が永久に持つわけではないということを会員のみなさんにわかってもらっているので協力してもらえる。 先輩方が残して下さった取り組みに感謝している」 と話している。

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