親戚支援に義援金託す フィリピン出身の職員に

2013.12.05
ニュース丹波市

 特別養護老人ホーム柏原けやき苑 (丹波市柏原町北山) は、 同施設で働くフィリピン出身の介護士、 上原マリシアさん (49) =同市春日町野村=の親戚を支援しようと職員らから義援金を募り、 マリシアさんに託した。 11月上旬の台風が、 マリシアさんの親戚が住む村タクロバンを襲い、 甚大な被害を受けた。 今も連絡が取れない親戚がいるという。 マリシアさんは、 「とにかく何もないと聞いている。 知人に頼り、 このお金を食料に換えて届けてもらうつもり」 と話している。

 

 マリシアさんが台風被害を知ったのは、 勤務中に何気なく見たテレビだった。 すぐに連絡を取ろうとしたが、 電話もパソコンも全くつながらない。 帰ろうかとも考えたが、 飛行機代を義援金として送った方が助かる人が多いと思い、 踏みとどまった。

 73歳になる母親は現在、 マニラで暮らしているため、 幸いにも台風の影響は受けなかった。 それでも1週間ほどは連絡が取れず、 気をもんだが、 親戚を通じて母親が無事であることが知らされた。 ほっとしたが、 いまだに行方が分からない親戚もいるので、 「複雑な心境」 と話す。

 タクロバンは、 マリシアさんの両親の実家があり、 親戚がかたまって暮らしている。 「暑い国だから、 家もワラや竹でできたもの。 何かもめちゃくちゃで何も残っていないようだ」 と嘆く。 助かった親戚の多くは学校や役所、 被害の少なかった地域に住む親戚の家など、 ばらばらに避難しているという。

 マリシアさんは、 「義援金は本当にありがたい。 亡くなった若い人たちや子どもたちがかわいそう」 と話している。 同施設は、 「少しでも力になれることがあればと募金を始めた。 フィリピンへの支援が広がってくれれば」 としている。

 

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