競技かるた名人位初防衛に成功 篠山出身の岸田諭さん

2014.01.16
ニュース丹波篠山市

写真・ 「第60期名人位決定戦」 で、 須藤五段と対戦する岸田名人 (左)。 「畳の上の格闘技」 は札もはじけ飛ぶ=滋賀県大津市の近江神宮で

 小倉百人一首競技かるたの日本一を決める 「第60期名人位決定戦」 (全日本かるた協会主催) が11日、 滋賀県大津市の近江神宮で開かれ、 篠山市乾新町出身で、 篠山かるた協会所属の岸田諭・名人 (26) =京都市=が、 挑戦者の須藤恭平・五段を退け、 2連覇、 初防衛を果たした。 昨年、 兵庫県出身者として初の名人位を手にした岸田名人は、 その名にふさわしい堂々たる試合を演じ、 翌日の高松宮杯でも優勝。 それでも、 「名人位を防衛した時は喜びと安心で頭が真っ白になったが一瞬のこと。 自分の中で課題も見つかる試合だったので、 2014年は、 また名人としてさらにレベルを上げていきたい」 とさらなる高みを目指す。

 試合は5回戦まであり、 3戦先取したほうが勝利。

 1回戦は動きの硬い須藤五段を岸田名人が圧倒。 相手陣内でも、 須藤五段が動けないほど、 電光石火に札を払い、 14枚差をつけて制した。

 2回戦は須藤五段が調子を取り戻して大接戦に。 読み札29枚を残した段階で7―7となるなど、 一進一退の攻防を繰り返した。

 ここでチャンスが戻ってくることを冷静に待っていた岸田名人。 次に読まれた札は、 名人が好きな「めぐりあひて」だった。 まさに形勢逆転の1札と巡り会った岸田名人はここから怒涛の6枚連取。 終わってみれば5枚差をつけて勝利をもぎ取り、 初防衛に王手をかけた。

 最終3回戦では本領をフルに発揮。 1音目からの反応の鋭さやスローカメラでも動きが見えづらいスピードに加え、 札を手で囲って相手に取らせないようにする見事な 「囲い手」 を攻防に渡って用い、 須藤五段を追い込んだ。

 須藤五段が相手から2枚の札を自陣に送られる 「ダブル」 のミスを犯したり、 岸田名人が送った札が次の取り札になるなど、 勝負の運も味方につけ、 5枚差をつけて勝利。 3勝無敗で名人位のタイトルを守った。

  「連覇というよりも、 この一年の名人を決めると思い、 挑戦する気持ちで試合に臨んだ」 と言う岸田名人は、 「今日のかるたは自分の中で75点。 昨年の名人戦やこの1年の経験を生かせたことは満足しているが、 ミスや甘さもあり、 まだまだ歴代の名人には追いついていない」 と分析。 「これからもさらに成長して、 もっと圧倒的に勝てるように精進していく」 と誓っていた。

 

 岸田諭 (きしだ・さとし) 篠山小学校1年生の時から競技かるたを開始。 篠山鳳鳴高校ではかるた部に入部し、 各地の大会で活躍する。 2009年、 初めて名人戦に挑戦するも、 名人に敗れ、 準名人の座に甘んじる。 2013年1月、 「第59期名人位決定戦」 に出場。 3本連取し、 兵庫県出身者として初の名人位に就く。 大阪大学医学部卒業。 現在、 製薬会社に勤務。

 

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