統合是非へ関心高める 「研究会」結成前に専門家が講演 多紀3小学校

2014.02.06
ニュース丹波篠山市

 篠山市は今年度末までに、 児童数が減少している福住・村雲・大芋の多紀地区3小学校の統合の是非などについて協議する 「研究会」 の立ち上げを予定している。 それに先立ち、 市教育委員会は1日、 地域住民やPTA、 学校関係者らに統合是非についての意識や関心を高めてもらおうと、 ハートピアセンターで 「これからの学校づくりと地域づくり」 と題した講演会を開いた。 約90人が参加。 専門家から、 子どもを取り巻く現在の教育環境や、 学校づくりから見通す地域づくりなどについて話を聴いた。

 

  「子どもの豊かな育ちの保障に向けて、 地域が学校に関与する仕組みや教職員同士が協働する仕組み」 などをテーマに研究している神戸大学大学院准教授の山下晃一さんを講師に迎えた。

 山下さんは 「昔の子どもたちは群れをつくっていた。 群れの中でやってはいけないことやけんかの限度、 『共存したら自分も楽しい』 ということなどを自然に学んだ」 と話し、 「しかし今は、 その子どもの群れ自体がなくなり始めている。 原因は 『3間』 がなくなったこと。 塾通いなどで 『時間』、空き地などの遊び場 『空間』、少子化で友達 『仲間』 がなくなった。その結果、 感情のコントロールが下手な子どもが増えている」 などと解説した。

 熱心に講演に耳を傾けていた60代男性2人は、 「講演会を通じて、 子どもたちが群れ遊ぶことの大切さを改めて理解した。 多紀地区のほとんどの小学校が複式学級という現状を考えると、 やはり統合はやむを得ない」 といい、 「『学校の歴史が終わる』 『学校がなくなることで地域が衰退する』 『少人数の中で子どもをゆったりと育てたい』 などの理由から、 統合への反対意見もあると聞く。 その気持ちは分からないではない。 しかし子どもたちは、 大人になると競争社会の荒波にもまれることになる。 適正な人数の中で切磋琢磨していくことはとても重要。『子は地域の宝』 と思うのなら、 なおさら」 と話していた。

 篠山市立小中学校適正配置等検討委員会が10年に 「篠山市学校教育改革5カ年・10カ年実施計画」 に対する最終答申で、 多紀地区3校について 「児童数が最も多い福住小で複式学級が始まる時期に統合が望ましい」 と市教委に提言している。

 現在、 異なる学年が同じ教室で学ぶ 「複式学級」 が、 村雲小 (37人) に2学級、 大芋小 (20人) に3学級あり、 福住小 (52人) も2015年度から始まる見込み。

 

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