「浅見光彦」が篠山・丹波市に ドイツと共に舞台に 内田康夫推理小説

2014.08.03
ニュース丹波市丹波篠山市

シリーズ115冊目となる 「遺譜」

内田康夫作のミステリー小説 「浅見光彦」 シリーズの最新作 「遺譜 浅見光彦最後の事件=上下2巻」 (各1700円、 税別) がこのほど角川書店より出版された。 舞台にドイツ、 オーストリアと並んで日本の丹波市、 篠山市が設定されている。 内田氏が6年がかりで何度も丹波地域に足を運んで取材した大作で、 全国に数多い浅見ファンの間で篠山、 柏原ほか丹波の歴史や風物がクローズアップされそうだ。

題名 「遺譜」 の由来は、 ドイツの大指揮者、 フルトヴェングラーが書いたとされる楽譜。 戦前にドイツの使節団が来日した際、 記念品として日本側に渡されたのを、 元特務機関将校で現在は篠山の神社の老宮司が戦後もずっと保管しているという。 この楽譜が、 骨董的な価値をはるかに越える何かにつながる気配を帯びていることから、 さまざまな事件が発生する。

一方、 「シューベルティアーデたんば」 音楽祭にドイツから招かれた女性ヴァイオリニスト、 アリシアの祖母が70年前の少女時代にフルトヴェングラーの楽譜に関わったことがあり、 アリシアの丹波行きに当たってある依頼をされたことから、 友人を通して浅見光彦がボディーガードを頼まれ、 篠山に来て事件に巻き込まれることになる。

アリシアたちはお菓子の里丹波ミオール館や丹波の森公苑ホールなどでの演奏の合間に、 篠山城址、 興禅寺 (春日局生誕地) などの観光地を回り、 これらの場面で丹波の歴史や風物が紹介される。

ストーリーを通してナチスドイツの謀略活動や日独を取り巻く当時の国際環境が浮き彫りにされるが、 準主役と言える老宮司は、 一貫して信義を守り日本の行く末を憂える信念の人。 また旧制柏原中出身で、 「藤原機関」 を率いた藤原岩市元中佐 (実在の人物) について、 尊敬する先輩として語るなど、 柏原高校の人脈も描かれている。

内田作品の浅見光彦シリーズはこれが115冊目で、 総部数は1億部に迫るという。 うち 「高千穂伝説殺人事件」、 「隠岐伝説殺人事件」、 「平家伝説殺人事件」 など30作以上がテレビドラマ化され、 榎木孝明、 沢村一樹、 中村俊介らが演じてきた。 今回は 「最後の事件」 と銘打つだけに、 軽井沢で開かれる 「浅見光彦34歳の誕生日パーティー」 の場面に、 これまでの事件で知り合った多くのヒロインが登場する。

内田氏は6年前にこの作品を着想し、 ドイツでの取材はもとより丹波にも何度も足を運んでストーリーを固めた。 「僕と浅見にとって1つの区切りというか、 転機になる作品」 と話している。

 

 

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