七面大明神 (京都府与謝郡伊根町)


 創建は明和年間 (1770年ごろ)。 伊根湾をぐるっと取り囲む小高い山の一廓にある。 不思議なこと
に伊根湾巡りのフェリーからは、 その神社だけが見えないのである。
 細い道をたどって神社へ石段を上っていく。 少し奥まった所に、 社殿が鎮座している。 ここで最も目を引いたのは、 神仏習合の証としての石塔が立っていたことだ。 「南無妙法蓮華経七面大明神」 と彫ってある。 文政3年の年号が見える。 このあたりに日蓮宗の僧侶が一時滞在していたそうだと、 近くの酒蔵の女主人が説明して下さった。
 ここの社殿の彫り物はきれいに残っており、 また大変垢抜けのしたものである。 正面向拝にはガラス玉のきれいな目をした竜が目に入る。 木鼻には中井権次一統の定番の唐獅子と獏が睨みをきかしている。 とりわけ、キリンの彫り物が目につくが、これは6代目、 中井権次橘正貞得意の作品テーマの一つである。

元高校教諭 岸名経夫