味耜高(あじすきたか)神社 (丹波市氷上町本郷)


 過去、 度々の風水害で神社が被害を受けた様子が覗 (うかが) われる。 平成16年と18年の被害の際に社殿全部を重厚な建物で覆い、 遠方から見れば、 全体が立派な社殿に見える景観を演出している。 ほかには例を見ないものだ。
 創建時不詳。祭神は大国主命の第一子、味耜高彦根命(あじすきたかひこねのみこと)で、 由緒ある出雲系の神である。 大正4年(1915)の再建の際に中井一統の彫り物も同時にしつらえられたのだろう。 保存状態は極めて良く、 地域の人の信仰心の深さが偲ばれる。 彫刻は8代目、 中井権次橘正胤の61歳ごろの作。 向拝の竜、 木鼻の阿吽の呼吸の唐獅子と獏、 さらに周りに施された鶴、 鳳凰、 鷹、 そして唐獅子等々、 すべて垢抜けしたものだ。 中でも応神天皇の土蜘蛛退治は特筆もので、 正胤の注目すべきテーマの1つである。 墨書きされた原図が中井家の古文書の中に現存しているのを、 先だって発見したところである。

元高校教諭 岸名経夫