Categories: 丹波春秋

旧正月

 今年の旧正月(元日)は2月19日。旧暦は閏月の加減で大きく振れ、昨年は1月31日だった。「春節」とも言い、中国、ベトナムなどでは今も新暦の正月より賑やかに祝われるが、日本ではほとんど忘れ去られた。▼しかし、明治6年1月1日から太陽暦への転換が断行された後、一般国民の抵抗は根強く続いた。「唱歌という奇跡、十二の物語」(文春新書)によると、その前年の12月を2日だけですませ、いきなり同月3日を新年の元日としてしまったので皆が戸惑い、以降も季節的になかなか新暦に馴染めなかった。▼中高年に懐かしい「年の初めのためしとて」という歌。明治26年に「祝祭日唱歌」に定められたが、題名が何故、歌詞にはない「一月一日(いちげついちじつ)」なのか。筆者は長年不思議に思っていたが、この本で疑問が解けた。▼つまり、祝賀行事のために登校してきた生徒に「旧暦ではなく今日、新暦の1月1日こそが年の初めなんだ」と、国をあげて強調したかったらしい。明治20年代になってもそうしなければならない程に、太陽暦は官庁と学校の暦にとどまっていたわけだ。▼因みに作詞は当時文部省局長だった千家尊福(せんげたかとみ)、作曲したのは宮内省楽師(後に楽長)で東京音楽学校教授の上真行(うえさねみち)。この人は、小紙の前東京駐在嘱託記者、丹波出身の上高子さんの夫君の祖父である。(E)

 

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