たんば黎明館


 本紙6、7面にあるように、柏原町に残る明治時代の建物が「たんば黎明館(愛称)」として4月2日、リニューアルオープンする。柏原のまちづくりの新しい起爆剤になることを期待する。▼この建物はもともと高等小学校の校舎として創建され、のちに女学校の校舎となった。丹波の奥深い山間の地にあって、多くの人材を育ててきた。国語教育で大きな足跡を残した芦田恵之助、日本の稲作改良に貢献した農学者の安藤広太郎、日本女子大学の校長を務めた井上秀の3人は、高等小学校で学んだ。▼女学校からは、俳人の細見綾子、丹波布の復興に尽くした足立たかが巣立っている。このほかにも有為な人材を数多く輩出。教育施設としての役割は大きいものがあった。▼建物の改修にあたっては、創建当時の姿を忠実に復元する形で進められた。女学校教育に力を尽くした柏原高女初代校長の近藤九市郎の胸像、早春の農村の朝の通学風景を詠んだ細見綾子の句碑も撤去されることなく、建物の歴史を伝える貴重な遺産として残した。▼明治時代から昭和の敗戦まもなくまで教育施設として年輪を刻み、多くの子弟の思い出がしみこんだ建物。そんな歴史の息吹にふれながら、時代に即した活用を図っていく。温故知新の精神が脈打つ地域の核として生かされていくよう願う。(Y)