70年の歳月


 70年目の終戦の日が近づく。今年、連載の企画などで戦争体験を語ってくれる女性を探した際、「子どもを兵隊にとられて亡くした母親はほぼ、この世にいない」ことに気づいた。母としての極限の悲しみ、悔しさを背負わされた方たちの声を直接聞くことはかなわなくなっている。夫を亡くした方でさえ見つけるのはなかなか難しく、70年の長さを感じた。
 本紙7面の篠山練兵場の特集は、祖母から「祖父が篠山70連隊にいた」と聞いたことがあったのがきっかけだ。終戦の年生まれの父に確かめると、「聞いていない」との事。戦地での体験は、子どもにも話さないままだったようだ。
 一方、取材では、戦時中のことをくわしく語ってくれる方たちに出会った。どの話からも「理不尽で悲惨」な戦争の姿が浮かび上がってきた。同時に、そんな姿が、戦争を体験していない世代に、どれだけ伝わっているのだろうかという思いも改めてよぎった。
 個人の人生では70年は長いが、国の歴史で考えると「ついこの間」だろう。それが風化していく現代の平和の危うさを感じる。(古西 純)