君尾山光明寺(綾部市睦寄町君尾)

2016.02.25
中井一統特集

 推古朝(599年)聖徳太子による開創。平安から鎌倉にかけて、真言密教の聖地として隆盛を極め、72坊も宿坊があったと言われ、その後、度々の火災や、明智光秀の丹波攻めなどにより、享保年間には、残っていた23坊も焼失してしまった。ここには火災を免れた、二王門という壮大な山門がある。鎌倉期の建造物で、国内でも珍しい二重屋根の栩葺で国宝である。この門を右手に見て狭い山道を登って行き、やっとのことで、本堂に辿りつく。入母屋造りの立派な本堂である。
 中央向拝にいらかがぴんと立ち右下を睨みつけている迫力満点の竜がまず目を引く。左右には目がくりくりした、阿吽の呼吸の唐獅子が竜を守っている。手挟みの2頭の飛竜が何と言っても素晴らしい。繊細な彫り物技術には吃驚だ。また2匹の鯉の滝登りを表しているユーモラスな彫り物もほほえましい。彫物師中井権次橘正貞、同清次良正用とある。
元高校教諭 岸名経夫

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