馬止(うまどめ)神社(豊岡市日高町観音寺)


 観音寺の仁王門(県指定文化財)をくぐってすぐ右に神社の鳥居が見える。急な石段を上り神門を経て拝殿、本殿へと進む。神仏習合の風情が色濃く残っている。祭神、名草彦命。創建は天武朝13年(684)の古社。朝廷側が軍事力を高めるため、操馬の技を教える拠点とした。のち、ここに馬工神社が創祀された。
 本殿の向拝に重厚な彫り物が目に入る。風化が進んで彫刻の色がやや変化しているが、かえって趣がある大きな竜だ。左上方をぐっと睨んでいる。目の周りも赤く塗られている。宝珠を中央で握り、尾の先まで“いらか”がしっかり立っている。髭は銅線ではなく木造である。木鼻には定番の誠に迫力ある唐獅子と獏がいる。持ち送りには鷹と山鳥の姿が見え、力士が屋根を支えている姿もほほえましい。兎の毛通しの大きな鳳凰も見事なものだ。明治19年、32歳の若き8代目中井権次正胤の傑作である。
中井権次研究家 岸名経夫