養父神社(養父市養父市場)


 円山川に張り出した弥高山を頂点とする台地の広大な神域に佇む但馬地方三大古社(養父、出石、粟鹿)の1つ。創建は崇神天皇期(紀元前66年)、祭神主神は大国主命他4柱。出石藩主、仙石家も深く帰依した神社であり、本殿が7社もあり、県の登録有形文化財である。本殿は桧皮葺入母屋造の壮大なもの。桁行三間、梁間二間で、この建物は幕末に改築され、前面部分に多彩な彫り物が施されている。
 向拝中央に竜が見える。よくある竜とは違って右前方を睨んでいる。ガラス玉の目と牙も大きく、緑色に変色した銅線の髭、左端に押しやられたような宝珠が印象的だ。すぐ上の火炎から飛び出した力神も迫力がある。手挟みの鳳凰と鷹と牡丹の精緻で多彩さは秀逸である。持ち送りの麒麟と長寿を表す霊獣亀も込み入った彫り物だ。また本殿上部の木組みも複雑と優美さを兼ね備えている。7代目中井権次正次の傑作である。
中井権次研究家 岸名経夫