忠臣蔵の恋


 12月15日の今頃は討ち入りから一夜明け、赤穂浪士達が泉岳寺の主君の墓前へ報告に上がっている頃だろう。▼10日放映のNHK土曜時代劇(連続20回)「忠臣蔵の恋」は少しさかのぼって、11月終わりから13日までの場面。浅野内匠頭夫人の阿久利に仕えていた主人公きよ(武井咲)が、吉良上野介の奥方富子の住む上杉家下屋敷へ女中に潜り込んで、上野介の動向を探っている。▼きよは四十七士の1人、磯貝十郎左衛門の恋人。恋のためにはどんな危険も顧みぬいちずな女だが、初めて見た吉良夫妻の意外に温かな関係にとまどってもいる。▼次回は直前に一波乱あった末に、討ち入りが決行されようが、諸田玲子の原作「四十八人目の忠臣」によると、話はその成就の後から急転回する。浅野家再興こそが、亡き十郎左に尽くす道と決め込んだきよは、その手がかりを掴もうと、僥倖で得た伝手を頼りに大奥にまで上ってゆく。▼「喜世」となった彼女こそ、やがて大きな権力を持つに至る実在の人物なのだが、その出自がかつて浅野家とつながっていたというのは、創作の世界。しかし根拠がないわけではないと、原作者は言う。▼幾多の話が語り継がれた忠臣蔵を、討ち入りの先まで女の眼でたどってゆく異色のドラマに、来年2月の完結まで目が離せない。(E)