気候変動とトラップ


 ノーベル賞授賞式で主催者側の教授が「欧米で科学を否定するような政治家が支持を集めている今こそ、賞の意義が増している」とあいさつしたことを、テレビが報じていた。誰のことなのか、1人は恐らく、温暖化ガスによる地球の気候変動を「でっちあげ」と一蹴したトランプ米次期大統領だろう。▼彼の弁舌には大抵慣れてしまった筆者も、これには驚いた。そこで思い起こすのが、気候変動を描いたSF映画「デイ・アフター・トゥモロー(『明後日』)」だ。以前にも本欄で引用したが、12年前のこの作品は今なお新しい。▼マンハッタンが大洪水に襲われ、やがて氷のカーテンに閉ざされる中で、主人公の高校生たちは逃げ込んだ図書館で本を燃やして暖をとらなければならない羽目に。大気の急な冷え込みで起きた飛行機事故で大統領が死に、後を継いだ副大統領は当初から学者の警告を「大げさに言っている」と相手にしなかった人物。▼しかし米全土の大半が凍結してしまった現実を認めざるを得なくなって、ついに難民を引き連れてメキシコ国境を越える。まだ温度を保つ中南米諸国に、債務の帳消しと引き換えに避難を求めるのだ。▼大勢の難民を背に、ようやく環境保護の大切さを訴えるに至った新大統領の姿が、トランプと重なって見えてくる。(E)