Categories: 中井一統特集

薬王山照仲寺(丹波市春日町下三井庄)

 法道仙人により開基、のち比叡山延暦寺を総本山とした天台宗の古刹。県道を少し入った所にあり、「一隅を照らす」と彫られた石柱の傍を通り、立派な鐘楼山門(1687年再建)に辿りつく。そこには鑿(のみ)の切れも鋭い獏が、迎えてくれる。
 境内へ入る。大般若堂(1722年再建)が佇む。そこの木鼻の彫り物が珍しく、唐獅子の代わりに麒麟と象、一方は牡丹と獏である。そして、兎が月夜の琵琶湖の波の上を奔る竹生島文様が目に入る。さらに少し高まった所の薬師堂(1677年再建)に近づく。拝殿向拝の虹梁の上に定番の竜の彫り物が目に入ってくる。よく視ると頭部がなく、ほぞだけが残っている。何かの拍子に、後年滑落したのだろう。他にもこの事例を見た。竜は、最初思っていた一木造りが寄木造りと悟ったのだ。再建後ずいぶん経ってからの彫り物だが、作風から中井権次正貞と正次親子の合作と思考される。
中井権次研究家 岸名経夫

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