春日神社(丹波市山南町長野)

2017.04.27
中井一統特集

 JR谷川駅から南の長野地区を少し逡巡しながら、春日神社に辿りつく。平地に佇む神社である。やや小ぶりの鳥居が目に入る。建立年は新しく、昭和18年(1943)10月と読める。祭神は「建御雷の神」など。
 拝殿に近づく。上部の狭い梁間に1足らずの竜が左上方を睨んでいる。舌を立て、銅線の髭を伸ばしている。宝珠は上向きに右端に移されている。ただ“いらか”が際立っていない。本殿に近づく。狭い梁間ながら、ここにも竜がしつらえられている。狭い空間ゆえ迫力がやや欠けるのもやむを得ないようだ。木鼻には、阿吽の唐獅子と獏が見える。中井権次一統時代とかなり趣が異なってきている。脇障子には左右とも鳳凰の立ち姿が注目である。この社殿は昭和26年(1951)7月に新築された。中井権次一統の最後の彫り物師、上田柏山が彫ったもので、拝殿の竜の裏面に丹波柏原町住人彫刻師上田柏山(明治18年生66歳時)の銘がある。
中井権次研究家 岸名 経夫

関連記事