Categories: 中井一統特集

正福山本行寺(朝来市生野町口銀谷)

 口銀谷(くちがなや)の寺町通りにある8カ寺の一番東端に佇む日連宗の古刹。入口手前に寺の由緒が書かれている。山門を入ると境内は静謐(せいひつ)そのものだ。
 本堂の中央向拝には、はみ出すくらいの、外部にあっては珍しい、飴色の大きな竜が居る。何といっても“いらか”の広がりが素晴らしい。左上方をガラス玉の大きな目で睨み、髭は銅線ではなく木であるのもいい。宝珠は慎ましやかに中央下部に収まっている。裏面左下隅に、丹波国氷上郡柏原町彫物師8代目中井権次橘正胤の銘がある。木鼻は唐獅子と獏、手挟みは牡丹の花、持送りには松と鷹、また別の2カ所には、初めて見る菖蒲とおしどりが秀逸だ。彫り物の多彩さは見事である。右側の薬師堂の彫り物も趣がある。中央向拝には唐獅子と牡丹のコラボレーション。木鼻は左右ともやや小ぶりの麒麟と象である。8代目正胤の思い入れの強い気力充実の傑作である。
中井権次研究家 岸名 経夫

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