武内神社(丹波市柏原町見長)


写真・手挟みの菊

 柏原町の見長集落の背後の山裾に鎮座する神社である。綺麗な緑色の苔むす石段を少し登ると、小振りだがしっかりした社殿が佇んでいる。唐破風流れ造りである。向拝に近づいて下から伺うと狭い空間に小さな竜と思しき彫り物がちらちら見える。後の中井一統の迫力ある竜の原型を見た思いである。手挟みを横から覗いて視る。やや大らかな菊の花である。蟇股には一つには竹の葉っぱと、何者か判断しかねる霊獣がいる。もう一方の蟇股には、はっきりと鹿と紅葉の彫り物が見える。脇障子も彫刻がやや大まかでテーマが掴みにくいようだ。

 祭神は武内宿祢命と大歳神で創建は古いと思われるが宝暦2年(1752)に再建され、その時の四代目中井言次君音が30歳時の若い時代の作品であろうと思われ、柏原で初めて彫り物を頼まれ、試行錯誤を繰り返し、中井一統の累代の名彫り物師群を立ち上げ、先駆けとなった姿が見える。
中井権次研究家 岸名経夫