田君長田神社(美方郡新温泉町栃谷字宮の前)


 浜坂町中心街から南方面、浜坂南小学校区の栃谷の少し南の田君川沿いの、小高い山裾に鎮座する比較的新しい社殿である。延宝2年(1674)に造営され、その後安政9年(1862)に現在の社殿となっている。急な石段を登って行く。覆い屋に覆われた社殿だが、やや間口が狭い。社殿前には、壺のような大きな鉢物に榊が飾られている。

 中央向拝のスペースがやや狭いので、一頭分の竜が設えられるのに、十分な空間が取れにくいようだ。右下方を眺めてはいるが、口も開けにくそうだ。蟇股の部分には、飛龍が2カ所、彫りこまれている。木鼻には、唐獅子と獏が威勢のいい姿を見せている。肘垂木には、所どころ、銅線を巻きつけた竜が居る。狭い空間での彫り物の苦労がしのばれる。7代目丹波国柏原住、中井権次橘正次40歳時の作であり、この後、彼は父正貞の後を継ぎ中井家四天王の一人に成長していった。
中井権次研究家 岸名経夫