丹波布は「宝」

2017.11.30
未―コラム記者ノート

 丹波布技術保存会が、同布復興60周年記念事業として丹波の森公苑で開いた「丹波布に魅せられて」が閉幕した。8日間の会期で1000人以上が来場し、予想以上の人出に、保存会の会員は驚き、価値を認める人、関心を持つ人、応援してくれる人がこんなにもたくさんいることに、布を織る技術者たちも心強い気持ちになったことと思う。

 国の無形文化財の丹波布だが、文化財の指定を受けているのは、技術者個人でなく、保存会という団体だ。長く活動は低迷し、一昨年再興総会を開くまでは休眠に近い状態で、節目の50周年にも華々しい催しは行われなかった。

 会場にいた時に、青垣出身の男性が、「丹波布技術保存会10周年」という、貴重な写真を会場に持って来ていて、興味深い話を聞かせてもらった。期間中、こういった出会いが多くあったそうだ。

 江戸、明治、大正、昭和初期の丹波布の古布にも感動したが、丹波布伝承館で技術を学んだ、ここ20年ほどの間に育った技術者の作品が素晴らしく、胸が熱くなった。先祖から連綿とこの地で織られてきた縞柄の布。掛け値なしに「宝」と思った。(足立智和)

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