雨漏り


 今年は明治元年から150年。NHK大河ドラマで西郷隆盛が取り上げられることもあり、ちょっとした西郷ブームが起きそうだ。明日は成人の日でもあり、西郷の若かりし頃を調べてみた。

 18歳で郡方書役助という藩の役職に就く。農村を見回り、村役人を指導し、年貢の取り立てを監視する仕事だ。10年間、携わった。最初に仕えた郡方の奉行は迫田太次右衛門。民を愛し、役人の不正を嫌い、自らは清貧に安んじる高潔の士だった。

 凶作の年、藩はたとえ凶作であろうと、年貢を加減してはならないと厳達した。農民の窮状ぶりを知る迫田は憤然とし、一首の歌を残して辞職した。「虫よ虫よ五ふし草の根を絶つな 絶たばおのれも共に枯れなん」。虫は藩庁をさし、五ふし草とは農民のこと。西郷は、この歌を後になってもよく口ずさんだ。

 農業の振興を政治の根本に据えた西郷。その礎となったのは迫田からの感化もあろう。雨降りの日、西郷が迫田の家を訪ねたとき、雨漏りがひどいので、迫田は押し入れに西郷を導き入れ、農民の苦しさを説いたことがあったという。

 雨漏りといえば、西郷にはこんな名言がある。「今は日本全国に雨漏りがしている」。雨漏りがする我が家の修繕よりも日本の修繕が先決だとした。新年を迎えた現今の日本はいかが。(Y)