ヒマラヤ

2018.04.19
丹波春秋

 ネパールのヒマラヤ行きの帰り、首都カトマンズの街を歩いた。旧王宮前広場を初め世界遺産は多いが、3年前の大地震の傷跡は大きく、石造りの建物は崩れ、つっかい棒で支えている所も目立つ。

 日本や米国、中国などの支援で修復工事も始まっているが、遅々たる進み具合。以前に市内に住んでいた同行メンバーの1人が「きれいな景観だったのに、本当に痛ましい」と嘆いていた。

 町中の道路も、水道管や舗装などであちこち掘り返されている上、おびただしい数の車やオートバイ。交差点の信号は故障が多く、警官が「ゴー」「ストップ」の札をかざして整理しているものの、横断は命がけ。

 ヒンズー教の寺で、川縁に骸を並べて火葬している風景を対岸から眺めた。水を含ませた藁で全身を包み、長い時間をかけて焼く。灰をコインや故人の貴金属と一緒に流したのを、子供が数人、川に入って紐に結び付けた磁石で回収し、川下にいた母親らしい婦人に差し出していた。

 飛行機から見た近郊の山々は、急峻な坂に何十、何百もの段々畑が切り開かれているが、作物は限られていよう。多くの若者が海外に出稼ぎし、帰国の機中でも集団で韓国に行く若者と隣り合わせた。「初めて親から離れるのは淋しいが、エキサイトしている」。釈迦を生んだこの国に愛しさを感じた。(E)

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