横断歩道

2018.05.10
丹波春秋

 ネパールの首都カトマンズで車やオートバイがあふれ返り、道路を渡るのが命がけという話を4月19日号に書いた。交差点で信号があるのに警官が札をかざして整理に当たっているのは、故障が多いためとガイドは説明していたが、どうであれ警官がいなければ収拾がつかないのではないかと、筆者は推測した。

 帰国し、何につけ日本の落ち着きぶりに安堵したが、いやいや、日本でも「外国の観光客が危ながっている」というテレビの放送に、思い当たることがあった。横断歩道での車である。減速せずに通過するので、うかうかとは渡れない。子供を連れた英国出身の大学の先生が嘆いていた。

 筆者の会社の前にも横断歩道があるが、車は制限速度30キロなのに大抵びゅんびゅん飛ばして通る。「横断歩道だよ」と、構わず手を挙げて渡ろうとするが、やはりひるみがちになる。1月に西宮で児童がひかれて死亡し、「9割以上が歩行者を無視して停止しない」という日本自動車連盟の調査を神戸新聞が報じていた。

 スイスのジュネーブの駅前の横断歩道で、もたもたする我々の集団を車が実に寛容に待ってくれているのに感激した。西欧の先進国では当たり前なのだろう。

 日本はこの点ではまだまだ遅れている。運転講習でも交通安全運動でも重点的にとりあげてほしい。(E)

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