「七夕さま、願い叶えて」


 ピアノの練習をしている。とても好きな曲があり、自分で奏でられるようになりたいと始めた。流れるように演奏できるまでの壁は恐ろしく高いが、その前に乗り越えるべき壁が多すぎる。

 まず楽譜が読めない。高音だと、五線の下の方から順に「ドレミファ…」と数えて、ようやくたどり着く。そこに音の長さの解読も加わる。片手でもかなり怪しいのに、両手で奏でるとなると頭と指がうまく連動しない。和音演奏ともなると、今のレベルからすると神の領域と言っていい。

 ピアノ教室に通っている7歳の姪っ子に、習い終わって使わない教本をくれと頼んだところ、次から次へと曲名をあげて「全部弾けるで」と誇らしげに胸を張っていた。最後に「え、何で弾けへんねん」と吐き捨てられる始末。そして「一回弾いてみ」と、かなり高いところから物を言う。屈辱だが、ピアノ演奏における力関係からすれば反論の余地はない。

 もらった教本は幼児用。でも、超初心者には「ちょうどいい」。まもなく迎える七夕の願いは「ピアノが上手に弾けますように」にするか。(田畑知也)