Categories: 丹波春秋コラム

白い歯

美女を形容して「明眸皓歯」という。明眸とは美しい目、皓歯とは白く美しい歯のこと。明眸はさておき、白い歯は健康美そのものであり、若々しさの象徴といえる。

年齢を重ねると、白い歯もくすんでくるが、谷崎潤一郎は、老人の歯の真っ白に揃っているのは見苦しく、黄色く汚れたり、象牙のような色合いをしている歯こそ老人らしくて良いとした。人生をかいくぐってきた老人の陰影のある味わいに、けがれのない白い歯は似つかわしくないと考えたのだろう。

姥捨て伝承を基に書いた深沢七郎の小説「楢山節考」にも、そんなくだりがある。みずから山に捨てられようとした「おりん婆さん」は、火打石で自分の歯を砕く。「歯もぬけたきれいな年寄りになって(山に)行きたかった」からだ。老いても、ぎっしり揃った歯は恥ずかしく、年相応の歯でありたいと願った。

歯という文字には年齢という意味がある。年をとると、歯がくたびれるのは仕方ないと覚悟した方がいいのかもしれない。

しかし、70歳で死に追いやられたおりんと違い、人生百年時代と言われる現今だ。噛むことは脳を大いに刺激し、脳を活性化すると言われる。脳の健康を保つためにも、しっかり噛める歯でありたい。少なくとも歯だけはアンチエイジングを試みたいと思う。(Y)

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