岩槻邦男・東大名誉教授の著書表紙に採用 「ボタニカルアート」小豆さんの「萩」と「啓翁桜」


写真・「ハギ」と「ケイオウザクラ」の植物画が、表紙カバーに採用された「ナチュラルヒストリー」を手にする小豆さん=2019年3月21日午前11時54分、兵庫県篠山市で

 植物のありのままの姿を正確・細密に描き、芸術性も持たせた「ボタニカルアート」の画家、小豆むつ子さん(69)=兵庫県篠山市=が手掛けた2枚の植物画が、兵庫県丹波市出身で東大名誉教授の岩槻邦男さん(84)が著した単行本「ナチュラルヒストリー」(発行・東京大学出版会)の表紙カバーに採用された。岩槻さんは人と自然の博物館名誉館長でもあり、小豆さんは同館の連携研究員。そんな関係から話が進み、おもて表紙を色鉛筆画の「ハギ」(マメ科)、うら表紙を水彩画の「ケイオウザクラ(啓翁桜)」が華やかに飾っている。小豆さんは「著名な先生の立派な本の表紙カバーに使っていただいて大変光栄です」と喜んでいる。

 小豆さんは、作品作りに必要な植物の知識を蓄えようと、2002年ごろから同館に足しげく通うようになり、03―13年に館長だった岩槻さんと知り合った。

 「ハギ」を描く際、モチーフとなる枝ぶりの良いハギを野外から採取するが、そこにキチョウの幼虫がついていた。「描き始めたときは気づかなかったが、幼虫はやがてさなぎとなり、作品が完成するころ、羽化して部屋を飛び回った、という逸話がある思い出深い作品」とほほ笑む。作品には、その時のさなぎもきっちりと描いている。

 探究心が旺盛な小豆さん。05年には、これまで雌雄同株であると考えられていたノアザミ(キク科)を調査し、雌の機能しか持たない株の自生を、日本で初めて確認するなどの成果を上げている。

 岩槻さんは、植物分類学者として研究を重ね、環境問題などで語られる「生物多様性」の言葉を根付かせた一人。

 同書は、大学、博物館、植物園とナチュラルヒストリー(博物学)のさまざまな研究、教育、普及の現場を経験してきた著者が、生物多様性、生命系などをキーワードに「生きているとはどういうことか」を語る一冊。毎巻、著者を変えながら25年にわたって刊行し、第50巻となる本書で完結した。