「丹波篠山盆桜展」始めた元篠山盆栽会長 才本淳一さん(篠山市東岡屋)

2019.04.21
たんばのひと

才本淳一さん

花のない時期も木を見る

桜舞う季節、篠山市民センターで4月15日まで、「丹波篠山盆桜展」(篠山盆栽会主催)が開かれた。25回の節目を迎えた今年は約50鉢が並び、多くの人が風流な空間を楽しんだ。会員たちが「桜の盆栽に特化した展示会は全国でもここだけ」と胸を張る、同展示会を始めた元会長。

45歳のころから黒松の盆栽を楽しんでいた。30年ほど前のこと。京都で開かれていた盆栽展を訪れた際、妻から「松ばかりでなく、きれいな花が咲くものはできないの」と“注文”を受けた。帰りの集合場所付近で売られていたフジザクラの苗を1本購入。それが始まりだった。

「他の地域から作品が集まる盆栽展に出品しても、桜だったら見劣りしない」と仲間に紹介したところ、「おもしろい」「やってみよう」と言ってくれた。「最初は花も付いていないような作品だったが、4―5年もすればよいものが展示できるようになった」と振り返る。木の特性から「桜切るバカ、梅切らぬバカ」という言葉があるという。桜の木を切ることはタブー視される中でも、噂を聞き付け、遠方から足を運ぶ人も増えたという。

ヒントを与えてくれた妻が昨年、他界。それを機に桜をやめようかとも思ったが、「他にやることがなくて、さみしくてなぁ」と苦笑い。「いっそのこと、忙しいほどやろう」と、300本ほど挿し木をしたという。

「松を仕上げるのは15―20年かかる。桜は2年もすれば、見られるようになる。作品になるまでが早いのも面白さ」と魅力を語る。「毎日一度は、一つひとつ木を見ること。花のない時期も見る。それがよい桜を育てる秘訣」。またすぐに来年に向けた世話が始まる。94歳。

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