日本の風景

2019.05.23
丹波春秋

 「街薄暑魚よりくつきり魚の影」―田ステ女俳句ラリーのステ女賞句(神戸市・吉村艶子さん)にはっとした。水面が光の反射できらめいて、魚より影の方がよく見えるのか、よく観察したものだ。

 この情景とは少し違うが、今頃は田んぼが本当にきれい。早苗がそよぐ水面に青空や山、家が映り、雲まで実物より目立って見える。ラリー選者の宇多喜代子さんが、この季節に丹波に来る楽しみの一つとして、「福知山線の車窓から目が離せない」と言っておられた。

 「一面田植えの終わった所を見とれていた」と言われ、詳しく聞くと、筆者が数日前にやはり電車から目にして感銘した場所とどうやら同じだったらしい。嬉しくなってまた数日後、その現場に車で立ち寄りしばらく眺めていた。

 水田は欧米ではまず見かけないし、中国や東南アジアでも筆者が目にした限りでは、広すぎたり雑然として美しいとは言い難い。日本の田植え直後の風景はまさに“世界遺産”もの。外国人観光客にも
っとアピールできると思う。

 しかしながら、米価の低迷、後継者不足などで稲の耕作田が年々減っているのは淋しい。日本人の1人当たり米摂取量は、この50年で半分以下に減った。この風景を守るためにも米食は大切。筆者も今後、朝のパン食を切り替えようと決心した次第。(E)

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