義父の部屋

2019.05.09
記者ノート

 昨年11月に亡くなった義父の部屋で、この原稿を打っている。4畳ほどの広さだが、タンスなども置かれているので、人ひとりが寝られるほどのスペースしかない。物は多いが、整理されているので散らかってはいない。几帳面な性格が現れている。

 まもなく10カ月になる我が娘が、最近つかまり立ちができるようになったのをいいことに、机の縁を持って立ち上がり、パソコンの「Enterキー」を押し続ける遊びをしに近づいてきた。邪魔をされないよう、静かな環境を求めて義父の部屋に移動した。

 義父は晩年、病気の影響で歩行が不自由だったので、一日のほとんどを自室で過ごしていた。部屋の引き戸を開けていろんな会話をしたが、義父は仕事で丹波栗を育てていたこともあり、栽培の楽しさや難しさ、丹波栗を取り巻く情勢や今後の展望などを熱く語りかけてくれた。

 義父が亡くなり、半年後に元号が変わった。ともに過ごした「平成」は過去のものになり、一緒に新しい時代を生きていくことはできない。娘の成長を見てほしかったなぁと、感傷に浸った連休の終わりだった。(田畑知也)

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