令和と同時に「丹波篠山市」誕生 「地方にこそ幸せありとPR」 住民投票経て市名変更

2019.05.05
ニュース丹波篠山市市名変更問題特集

「丹波篠山市」と書かれた市役所の銘板を除幕する酒井市長や園児ら=2019年5月1日午前9時2分、兵庫県丹波篠山市北新町で

新元号「令和」が幕を開けた1日、兵庫県の内陸部にあり、お節料理の定番、黒大豆の産地として有名な篠山市が、「丹波篠山市」へと市名を変更した。旧国名「丹波」を冠する近隣市との区別をつけることや、農産物の「丹波篠山ブランド」を守ることなどが主な理由で、合併に関係なく市名が変わることは非常に珍しいケース。同日、記念式典が開かれ、関係者や市民らが新元号と共に新たなまちのスタートを祝った。

記念イベントでは、地元高校の書道部がパフォーマンスで丹波篠山市誕生と未来へのメッセージをしたためた

同市役所前では、日本六古窯の一つ「丹波焼」で「丹波篠山市役所」と書かれた銘板の序幕セレモニーが開かれた。その後、記念式典が開かれており、式典後には国史跡の篠山城跡を囲んで市民ら約3000人が踊る伝統の「デカンショ総踊り」が催された。

酒井隆明市長は、「今日の日が迎えられたことを改めてうれしく思う。令和の新しい時代と、丹波篠山の時代が一緒になってスタートしていける。都会よりも地方にこそ幸せがあるということを市民みんなでPRしていき、これからもこのまちをつないでいけるようにがんばっていきたい」と述べた。

 

篠山城跡を囲んで「デカンショ総踊り」に臨む市民ら

1999年、平成の合併第一号として誕生した篠山市。黒大豆の産地であり、「丹波焼」の里。また、イノシシ肉を使った「ぼたん鍋」や民謡「デカンショ節」のまちとしても知られる。旧丹波国の一部であり、これまでから通称「丹波篠山」を使用してきた。

ところが、04年、隣接する同県氷上郡が合併して、旧国名を冠した「丹波市」となったことを機に、「丹波篠山」が「丹波市と篠山市」と誤解されるケースが出てきたこと、さらにはブランドとしての「丹波篠山」を守る目的から、2017年2月以降、商工会や観光協会、JAなどの団体が、市に対して「丹波篠山市」への変更要望書を提出した。

一方で、「地名は篠山、愛称は丹波篠山でいいではないか」などと、現状維持を望む市民も多く、「問題」に発展した。

市は18年4月、市名変更した場合の経済効果額を「52億円」と発表するなど、変更を進める中、住民投票を求める動きが起こり、11月、「市名を丹波篠山市にするか否か」をテーマに同市初の住民投票が実施された。

結果、変更に賛成が1万3646票となり、反対の1万518票を上回り、元号変更に合わせた市名変更が決まった。

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