「後輩が困らないように」ベトナム人従業員、社内寮で日本語教室


写真・日本語能力試験に向けて勉強に励むフウエンさん(左端)と後輩従業員たち=2019年5月29日午後零時20分、兵庫県丹波市山南町で

 兵庫県丹波市山南町のプラスチック製品製造・販売会社「日本容器」で働くベトナム人従業員のブイ・ティトゥ・フウエンさん(29)が、勤務の後や休日に会社の寮内で日本語教室を開き、後輩たちに日本語を教えている。フウエンさんを含む4人は、7月7日に行われる日本語能力試験にチャレンジする予定で、「合格をめざしてがんばりたい」と意気込んでいる。

 フウエンさんは、ハノイ工業大学を卒業後、同社で勤務して8年目になる。日本語は、来日前に2カ月間勉強したものの、当初は日常会話ができるほどではなかった。

 一緒に来日した仲間とともに、柏原町で開かれている日本語教室「こんにちは」に入会。1年ほどで仕事が忙しくなって通えなくなったが、勉強は続け、日本語能力試験で上から2番目の「N2」まで取得した。
 昨年、会社の後輩たちとともに再び同教室に復帰しようとしたところ、主宰する時里孝子さんから「そちらでフウエンさんが教室をやってみたら」と勧められ、後輩たちに教えることにした。

 フウエンさんの教室名は「たんぽぽ」。「日本語を身につけて、綿毛が飛んでいくように、新しい人生を希望をもって歩んでほしい」との願いを込めたという。「新しい言葉を勉強するのは楽しい」というフウエンさん。「来日した頃は言葉が分からず困ったことがあったので、後輩たちがそうならないよう助けたい」と話す。

 水曜日の午後9時から約1時間と、日曜日の午後7時から約2時間、「たんぽぽ」は開かれている。仕事の後ではかどらないこともあるが、「眠くなるまで」勉強を続けている。

 現在、フウエンさんの教室に通っているのは、来日2―5年目の女性4人。7月の試験では、ハンさんを除く3人は「N3」、フウエンさんは最高ランクの「N1」に挑戦する。

 同社の平尾篤工場長によると、ベトナム人従業員は現在12人。手先が器用で仕事の習熟も早いため、雇用が増えているという。フウエンさんは、通常の仕事はもちろんのこと、社内の通訳としても力を発揮。平尾工場長は「現場で指導する場面で非常に助かっている」と話す。「たんぽぽ」は自主的な勉強会だが、社も応援しているという。

 市によると、市内に住むベトナム人は4月末時点で318人。フウエンさんは「丹波市に住むベトナム人でコミュニティをつくりたい」とも話している。