「青い山脈」

2019.06.06
丹波春秋未―コラム

 往年の名女優、杉葉子が90歳で亡くなった。女学生役で主演した70年前の映画「青い山脈」は今見るといかにも青っぽいが、当時の観客にはさぞまばゆかったことだろう。

 この映画で「島崎雪子」という先生を、やはり先年亡くなった原節子が演じているが、その名をそっくり芸名にもらった女優(この映画には出ていない)も、原や杉に負けない、透き通る肌の美女だった。筆者は中学生の頃、「平凡」という映画スターのグラビア雑誌で母に隠れて彼女らを見つめては、胸をときめかせていた。

 その島崎雪子が「七人の侍」で、村から盗賊にさらわれ囲い者になっている元人妻役をし、侍達が助けに来た時、自分を恥じて綺麗な着物ごと火の中に飛び込む場面に出会った衝撃は、今も忘れられない。

 彼女も今88歳となり、銀幕からは引退したが、もう1人、東映のお姫様役などで「平凡」を賑わせていた雪代敬子は86歳でなお現役。先日、沢口靖子、江波杏子らが活躍するNHK連続時代劇「小吉の女房」で、寺に保護された身寄りのない老女役で登場。半ば汚れのちょい役で、その場面では全く気付かなかったが、キャストの中に名を見つけてびっくり。

 42歳で引退した後、人前に一切姿をさらさなかった原節子は見事だが、雪代の生き方もまた見事ではある。(E)

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