ハヤブサ巣立つ

2019.06.30
未―コラム自然記者ノート

 丹波市内の採石場跡で繁殖していたハヤブサのひなの巣立ちを記事にした(6月16日号)。巣立ち間もない2羽の幼鳥が懸命にはばたき、親鳥が持ち帰った餌を奪い合う、あのにぎやかな光景が目に焼き付いている。

 ハヤブサといえば、速く飛ぶ鳥の代名詞だ。しかし実際のところ水平飛行時は時速100キロ前後。街なかをうろつくドバトだって80キロほどで飛行するので大差はない。だが、ハヤブサのすごいところは獲物に襲いかかるときの急降下時にあり、その速度は390キロ近くにもなるというから驚きだ。

 4度営巣地を訪れた。初回、営巣場所を確認するため歩き回っていると、頭上に殺気を感じた。見上げたその瞬間、親鳥が目前をかすめ飛んだ。そのあまりに迫力ある不意打ちに思わず「うわぁ」と声が出た。巣に近づきすぎた私への警告に「390キロ急降下」を繰り出したのか。

 今、わが家のツバメが今季3度目の子育てをしている。親鳥がせっせとひなのもとへ餌を運び込む姿を見るにつけ、梅雨空を力強く飛び交う2羽の鳥影を想像してみるのであった。(太治庄三)

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