「治す」「支える」融合へ 医療崩壊から10年、統合新病院発足 新しい地域医療の船出(上)


新病院の病棟で「ええとこに来させてもらった」と看護師と談笑する入院患者=2019年7月1日午後6時28分、兵庫県丹波市氷上町石生で

 「一番乗りでええとこに来させてもらった。まっさらな設備で、ええ記念になった」。兵庫県丹波市の同県立柏原病院(県立)と柏原赤十字病院(日赤)の統合を受け、1日に開院したばかりの同県立丹波医療センター(医療センター)に県立から移送された入院患者の男性(85)は、真新しい病室でベッドに腰かけ、にかっと笑った。

 2病院の統合再編問題の発端は2006年。初期研修医の臨床研修制度の変更に端を発し、2病院の医師数が大幅に減り、診療機能が低下。経営も悪化した。14年に両病院の統合再編基本方針が示され、15年に基本計画ができた。着工は17年。隣接する同市立健康センター「ミルネ」と並行で整備を進めた。両施設(病院181億円、ミルネ約26億円)と同敷地内にある同市立看護専門学校(約16・5億円)で事業費は約223・5億円。

 
急性期と地域包括ケア病床で「病院完結型医療を」

 統合新病院は、閉院した県立と柏原赤十字(日赤)の2病院と同規模の238床で開院した。医療センターと「ミルネ」の2施設で2病院の機能を引き継ぎ、支える医療と治す医療が融合した新しい地域医療をめざす。在宅から急性期まで切れ目ない医療を提供する。

 県立は、急性期病院だったが、日赤にあった「地域包括ケア病床」が加わり、回復期機能を備えたのが新病院の特長。

 手術など急性期の治療は終えたけれど、自宅や施設に退院するにはもう少しケアやリハビリが必要だったり、介護保険サービスを利用するための調整や準備が必要な患者のための病床を1病棟(45床)設けた。

 同病棟専従の石原直幸主任理学療法士は、日赤で地域包括ケア病床を経験済み。「急性期の病床は長く入院をさせられないので『もう少しリハビリを』と思っても転院先を探さなければならないが、地域包括ケア病棟で、そういった患者さんを預かれる」と利点を話す。「病院から在宅へ」が時代の潮流だが、秋田穂束院長は、地域の医療、患者の状況を鑑み「時代に逆行する所があるかもしれないが、ある程度、病院完結型医療を提供していくことになる」とする。

 

診療所や健診、訪問看護などの機能も充実
写真・ワンフロアで完結する健診センター「ミルネ」

 「ミルネ」は、診療所と健診センター、訪問看護ステーションなどが入居する。県が指定管理者になり運営する。診療所(内科)の担当医は、主に医療センターの後期研修医ら若手。訪問診療、訪問看護、訪問リハも提供し、在宅を支える。

 8日から一般健診を始めた健診センターには、4日までに600人の予約が入っている。6月20日から始めた予約受付の電話が鳴り続け、開院しやや落ち着いた。

 日赤時代は1・2階に分かれていた健診センターをワンフロア化。検査機器も最新のものをそろえた。健診に慣れた元日赤の職員が担当する。

 人間ドックのオプションのMRI、CT撮影は、医療センターで行う。

 「ミルネ」の医療・健診部門を統括する大野伯和医療センター副院長は「紹介状なしで受診できる診療所と、予防や早期発見につながる健診センターでみなさんのお役に立てれば。多くの方に使ってもらうことで施設が生きてくる」と話している。