幼稚園→存続危機、こども園→定員超 「預かり保育実施を」 市と保護者らが議論


園児数の減少で存続が危ぶまれる3幼稚園の今後を話し合った検討会=兵庫県丹波篠山市黒岡で

 兵庫県丹波篠山市内で唯一、夕方までの預かり保育がない公立の3幼稚園区の今後を考える検討会(委員長=酒井隆明市長)の初会合がこのほど、丹波篠山市民センターで開かれた。3園の園児数は減少が続き、存続が危ぶまれる一方、同じ地域内にある私立の認定こども園2園は定員を超え、入園落選者もいるのが現状。幼稚園の保護者からは、預かり保育の実施を求める声が上がる一方、こども園の保護者からは、「子どもが減る中、市としての将来のビジョンを示すべき」などの意見も出され、議論が白熱した。ただ、市は過去に、長期的にはすべての幼稚園、保育園を認定こども園に移行させることや、短期的には公私のすみわけなどの理由から、この3園区での預かりは「不要」と結論付けており、議論が再燃した形になっている。

 

3歳児の1号認定、落選多く

 

 幼稚園は同市中心部にあり、篠山、たまみず、岡野の3園。市内で唯一、公立幼稚園と私立こども園両方がある地域(他地域はすべて公立)だ。市教委によると、今年度の3幼稚園の園児数(4、5歳児)は、篠山が10人、たまみずが19人、岡野が10人となっている。

 一方、こども園の園児数(0―5歳)は、7月1日時点で、ささやまが147人、富山が103人。今後、年度途中での入園も数多く控えており、定員を超過する。

 また、3歳児で市内には両こども園のみにある「1号認定」(定員計25人)も定員に達しており、落選した園児も多い。

 検討会は、預かり保育を求める幼稚園の保護者の声を受けて設置。保護者や園関係者、自治会の代表者など21人で構成する。

 

「働くと転園」「私立の経営圧迫か」

 

 初会合では、幼稚園の保護者から、「預かり保育があれば、幼稚園を選択する人もいるはず」「働かなければならなくなると、こども園に転園させることになる。環境も友だちも変わり、子どものストレスになる」などの意見が出された。

 また、「公立で預かりを実施すると、私立の経営を圧迫することにつながるのか」との問いに対し、こども園関係者は、「保護者の希望を押しのけてまで園児を確保するという気はない。こども園の経営を心配してもらうことはない」と答えた。

 「3歳の子を持ち、働いていない母親は、社会性などを身につけさせたいと、『1号認定』(3―5歳児で保護者が働いていない場合でも受け入れる。午後1時半までで、両こども園のみで実施)で、入園を希望するが、ほとんどが落選している」との声に、こども園関係者は、「定員が超過しており、くじ引きになっている。『なぜ、受け入れてもらえないのか』と詰め寄られたこともあるが、速やかに受け入れないといけない子どもから受け入れている」と実情を語った。

 一方、こども園の保護者からは、「私立であっても他園や小学校との交流はできている」「出生数から将来の園児数はわかるはずなので、市として今後の方針を出してもらわないと、互いに不満の言い合いになってしまう」という声も出された。

 酒井市長は、「率直な意見を聞かせていただいた。次回までに今後、どのような可能性があるのかを示したい。難しいところはあるが、よりよい方向を探っていきたい」と話した。

 検討会は今後も定期的に議論を続けていく。

 

6―8割がこども園選択

 

 3幼稚園区の保育先では、幼稚園選択者が18・2―35・2%と少なく、篠山と岡野の約8割、たまみずの約6割はこども園を選択している。

 幼稚園の園児減少は、共働き世帯の増加に伴い、多くが夕方まで利用可能なこども園に通っており、共働きでなくとも園児数が少なくなった幼稚園を選択しなくなるという循環に陥っているとみられる。このような状況から今年2月、篠山幼稚園の保護者らが、市長に対して預かり保育の実施などを求めたことから、3園区全体の課題として検討会を設置した。

 一方、市は2010年、保護者の就労状況にかかわらず、幼稚園教育が受けられる環境を整えようと、財政状況を見ながらしかるべき時期に、すべての保育園と幼稚園をこども園へ移行させる方針を策定。短期、中期計画では、篠山、たまみず、岡野の3園で預かり保育の実施も決めていたが、その後、園区内に2つのこども園ができたことなどから、「公私のすみわけ」という側面もあり、預かり保育は「不要」と結論付けている。